BLUE DROP～天使の僕ら～/吉富昭仁 感想

BLUE DROP-天使の僕ら 1 (チャンピオンREDコミックス) (2007/09/20) 吉富 昭仁 商品詳細を見る

BLUE DROP～天使の僕ら～/吉富昭仁/全２巻/チャンピオンRED連載/TSF(女体化)/女装/百合/BL/SF
※この作品の前に、異星人アルメの侵略という設定を共通した読みきり作品のBLUE DROP、アルメに侵略が始まる時代(今作より10年前)を舞台とした『BLUE DROP ～天使達の戯曲～』というアニメがありますが、登場人物・ストーリーはそれぞれ独立しています。

粗筋：アルメと呼ばれる女性のみの異星人に支配された近未来――。高校生のショータは、アルメによって女性に改造された親友のケンゾーとのSEXを強要される。それも１週間以内に・・・!少年少女の性のサバイバルが今始まる!?

感想：表紙からだと切ない百合漫画っぽいですが、中身は男と男の変態コメディです。
主人公ショータの親友ケンゾーが、金髪の美少女に改造され、ショータも無理やり女装(カツラ＋ワンピース)させられます。その後女子高に転入させられたりするので、２巻中盤まで女装のままです。

SEXをしなければショータが殺されてしまうので、ケンゾーは必死で誘惑したり(ただし変態なのでずれている)襲ってきたりしますが、性格の女性化などはあまり見られません。口調・行動も変化はなく、しかも女好きなので、アルメに捕まったショータを助けに行きながら、裸の女の子を見つけてそっちに混ざったりしています。
アホなケンゾーをはじめ、なぜか全裸でねこみみのマリエル提督、ショータ大好きなガチホモ女装シンイチなど、変態率高めです。あと、無駄にモザイクがかかります。
性のサバイバルとあるだけあって性的な描写が多いですが、どちらかというとドタバタ変態コメディといった作品です。
なお、アルメはもともと地球の女性との繁殖を目的としているので、全体的に百合エロな描写が多いです。男性のみで造られた町での男同士の描写も多少あります。

変態コメディですが、背景にあるのは侵略される地球、人体実験で改造された親友、アルメによって容易く人間が処分される状況です。陸に刺さった戦艦、止まった信号機、海の向こうには破壊されたビル群が浮かび上がっています。
２巻では、そんな負の状況が具体的に描かれる中で、ケンゾーの行動が変化し始めます。ケンゾーのモノローグを入れるのではなく、あくまでショータの視点だったのが印象的でした。心を隠したままのケンゾーの表情・行動が切ないです。ラストのケンゾーの笑顔は、馬鹿なことを言っているのにぐっときました。

主人公がTSして大騒ぎといったノリが好きな人には合わないかもしれませんが、ケンゾーは面白くてかわいいですし、SF作品としても面白かったです。
１巻の変態エロっぷりに挫折した人がもしいたら(というか私がそうなのですが)、騙されたと思って最後まで読んで欲しいです。