獣人アニメ「ＤＯＧ ＤＡＹＳ」４月スタート＆某わんこゲーム感想

「わんことくらそう」
「わんことくらそう」は都築真紀脚本のＰＣゲームです。
けもみみしっぽの女の子たちがほほ笑むジャケットはほのぼのした雰囲気ですが、実は人によっては非常に狂った作品です。
この作品に登場するけもみみしっぽの「獣人」たちは、自己保存のために人に似せた姿に進化した動物。
タイトル通り犬が多いのですが猫も登場し、設定上では鳥の獣人も存在します。
特徴的なのはこの「獣人」が徹底的に動物として描かれることです。

「獣人」は人の姿をしある程度の言葉は使いますが、あくまで「犬」です。
希少種である彼らは、高価な値でペットショップで売られます。見た目は人身売買ですが彼らは犬。
購入する側は「高いからどうしよう」「すぐに死んじゃうかもしれない（彼らは犬なので長くても１５年ほどしか生きません）」という理由で悩むかもしれませんが、決して「人間として倫理に反する」という理由では悩みません。そもそもそういう発想自体出ないのです。
「けもみみヒロインといちゃいちゃするゲーム」と思ってこのゲームに触れた人は、おそらくこの世界の「常識」にぞっとすると思います。

また奴隷制度ものならば「奴隷解放」というテーマがつけられることが多いですが、これは「犬」の作品なのでそんなものはありません。
首輪を付けられ餌をもらい、リードの中で「自由」を堪能する犬。彼らは頭をなでてリードを引っ張る人間を愛し、人間もまた彼らの無垢な姿に勇気づけられ「犬」であっても、大事な家族の一員だと愛情を注ぎます。
彼らを「人」対「人」として見たとき、これほど異常な関係はないでしょう（余談ですが家族といっても同じ食事まではとりません。犬には人間の食事は辛すぎるのです）。

しかし彼らを、「獣人」ではなく奇跡のような進化を遂げた「犬」として見るならお茶の間のテレビでありがちな、お涙ちょうだいペットと飼い主の感動ドキュメントに早変わりです。
死んでしまった飼い主を探して、何十キロと離れた飼い主の家まで辿り着く犬。傲慢な主人のために感情をなくしたペットが、優しい少女の愛情で心を取り戻す話。
日常の中で優しくそして残酷なほどに正面から描かれる人と動物、動物と動物、人と人の言葉は、この世界に登場する人間が、決しておとぎ話のお姫さまのように清廉潔白ではないからこそ、心から滲む言葉は胸を打ちます。

近年コンシューマもＰＣゲームも大作が増えていますが、「わんことくらそう」はそれらと比べると短めで掌編とも言える作品です。
しかし犬の少女の悲しいほどの一途さ、一つ一つのセリフの重さが残すものは、どんな大作にも劣らない名作だと思うのです。

他、人間の姿をしながら動物として描かれる作品の感想　※すべて全年齢の漫画作品で若干鬱要素あり。
犬姫様　感想 　飼い犬が主人公にだけ女性に見える。後半の不安定な空気がたまらない。
ポチ軍曹。/もみじ真魚（原作：日日日） 感想 　軍用犬が主人公にだけ女性に見える。後半いろいろ斜め上。
魔法少女猫X(全２巻)/おりもとみまな 感想 　獣人が動物として扱われる近未来。
キンクロ/戸田陽近 感想 　競走馬が獣人。扱いは馬。
JIUJIU-獣従(じゅうじゅう)-（１）/トビナトウヤ 感想 　犬の少年二人と主の少女の伝奇作品。これのみ現在連載中、そして少女マンガ。