XAZSA(ザザ)/田村純子 漫画・CD感想
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2009/05/27 20:03:00
2009/05/27 20:03:00
![]() | XAZSA〈ver.1〉 (コバルト文庫) (1992/06) 若木 未生 商品詳細を見る |
XAZSA(ザザ):田村純子/原作 若木未生
全3巻。LaLaDX/メロディー連載。
アンドロイド
粗筋
夜の銀座の街角で、休業中のギタリスト早水京平が偶然出会った少年・ザザ。不思議な魅力を持つ彼は、天才少女浅見優亜によって作られた国家機密級の機械人間だった。ひとつの大きな夢のため人間になろうと優亜の保護下を飛び出したザザは、必然的に京平を事件にまきこみ、現在は早水家に居候中である。様々な人々の中で日々、人間らしさ体得に励むザザだが―。シティサイバーファンタジー。 (「BOOK」データベースより)
感想
原作の若木未生は『ハイスクール・オーラバスター』、『イズミ幻戦記』などの少女向けライトノベルを書いていた若木未生。漫画版の田村純子は現在コミックHigh!で『ハナノメタモ』を連載しています。表紙は男性しか出てませんが、少年誌に行くだけあって女の子も可愛いです。
2巻第1話までは、京平を始めザザを取り巻く人間視点の読みきりシリーズ。第2話以降および3巻は「良心システム」を与えられず暴走したアンドロイドシグマが登場する長編ストーリーになります。
出てくるアンドロイドは、人間になりたくて優亜の元を飛び出したザザ、優亜に忠実につき従うゼロ、「良心システム」を持たず経験による知識・感情の乏しいシグマの3体のです。
「良心システム」とは優亜の父浅見博士によって作られたシステムで、「良心」「倫理」といった価値観を「優亜」の価値観を基準とするというものです。また優亜の命令に従うプログラム、さらにそれが優亜に悪影響を与えると判断した場合、その命令に反することもできる「判断力」も与えられています。これによりアンドロイドであるザザとシグマは、自然に人間的な行動をとることができるようになっています。
「あなたが好きです。 だから僕は、優亜と同じ人間になろうと思って」
サイバーファンタジーというだけあって、これに登場するアンドロイドは非常に人間に近く、笑うことも、食事をすることも、人の命令に逆らうこともできます。行動・外観での人との違いはありません。
なら、どこが人間とは違うのか。
制作者である優亜はザザの夢をかなえるために人造心臓や変性細胞組織での肉体を作り、人間に近づけようとしました。またザザは人の行動を真似、人を見ることで人間に近づこうとしました。でも、体が人間に近と同じだから、人間そっくりに動けるからといって、人間と言えるのか。ずいぶん前の作品なのですが、印象的な台詞の多い大切な作品です。
物語の核は、人間になりたいアンドロイドと暮らすうちに、最愛の妻を亡くして人間でいることすらめんどうになってしまったギタリストが、次第に人間になりはじめるというものです。大筋は割とシリアスなのですが、デフォルメされた描き方や楽しい掛け合いも楽しめます。
本作終了後、「人間が見えない」少女とザザの交流を描いた作品がメロディに短期連載されたのですが、そちらは単行本には掲載されていません。
この作品はイメージアルバムとして『XAZSA~Your Own Personal Number』が発売されています。XAZSAをイメージして作られた5つの歌の中に作中の台詞を入れるというものなのですが、使用されている歌がいい歌ばかりでした。歌われているのは安田尊行さん、松澤由実さんがそれぞれ1曲ずつ、新居昭乃さんが3曲です。特に「いくらプラスティックのヒフがつめたくても凍らないこのキモチ」という歌詞で始まる『天使たちの行進』という曲は、アンドロイドの恋を新居昭乃さんの透明な声が歌っているという、アンドロイドと人間の恋が好きな自分にはたまらない曲でした。
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