お迎えです。(文庫版全3巻)/田中メカ 感想
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2010/08/20 22:13:38
2010/08/20 22:13:38
![]() | お迎えです。 第1巻 (白泉社文庫 た 7-1) (2007/09/14) 田中 メカ 商品詳細を見る |
※右のページで試し読みできます:http://www.s-book.net/plsql/slib_detail?isbn=9784592885283
死んだはずのじいさんと格闘するピンクのウサギ。
ありえないものが見えちゃった受験生・堤円は、この世に未練を残した霊を成仏させる会社「GSG(極楽送迎会社)」のバイトに無理矢理スカウトされて…!?
笑えて泣けるホット幽霊ストーリー、待望の文庫化! 描き下ろし特別編+インタビューも収録。(白泉社紹介より)
この世に未練を残した優しい幽霊達に体を貸し、やり残したことをさせることで成仏させる正しい意味で幽霊会社の「GSG」でバイトをしている、ごく普通の大学生・堤円の幽霊バイト物語。
「未練を残した幽霊の漫画」と書くと哀しい雰囲気の話が多そうですが、実態はかなりコメディ色が強い満かです。
好きな相手に気持ちを伝えたい、正義のヒーローになりたい、雪遊びがしたい、大嫌いな女に復讐がしたい!!
女子大生にちっちゃな子ども、頑固じいちゃんと、色んな幽霊達が円の体を借りて自分の望みを叶えていきます。
登場するのは、天然無表情のセクハラ主人公を初め、「ラブリー強化月間」や「女子高生強化月間」など馬鹿な企画をぶっ立てては、職員に強要するお気楽会社「GSG」とそのせいで常に着ぐるみ着用のイケメン・ナベシマ、コスプレとセクハラ被害担当のロリお姉ちゃん・ゆずこ、そしてヒロイン?の幽霊だって殴り飛ばす超パワーの女子高生・阿熊幸の4人です。
「幽霊漫画」ではあるのですが、この4人の掛け合いはそんな寂しさを全く感じさせません。
恋心を伝えようとして死んでしまったなど設定だけなら切ないものが多くはあるのですが、緊張感0の4人の会話は楽しく明るく、読んでいて元気になれました。
そして個性的で妙に可愛いレギュラー陣が出会うのは、やたらと元気な幽霊達。
着ぐるみうさぎと格闘するような頑固じじいから始まり、自分の名前を覚えていないというだけで阿熊に復讐を誓う高飛車お嬢様、壁打ちしかしたことがない卓球部員などちょっと変わった幽霊達が登場します。
もちろんまっとうな理由で未練を残した幽霊も多いですが、生きていた頃の話が面白くやはり明るい気分になれました。
とはいえ、円が未練を叶えるのは全部幽霊。
決められた「死」という結末と、変えることが出来ない生者と死人の関係は、コメディで隠しながらも棘のように心臓に残ります。
どんなに明るく話しても、円の体を借りて願いを叶えても「死」という事実は変えられない。
それが分かっているのに、願いを叶えようと必死な幽霊達や、明るくのんきなナベシマとゆずこは時々酷く切なく見えました。
笑えてほんのり切なくあったかい。そんな漫画でした。
TSF:主人公の男子大学生円が、女の子に体を貸す話があります。
1巻では阿熊、英語教師、犬好きの小さな女の子、捜し物をしているばあちゃん。
2巻では新米教師、3巻では高飛車お嬢様に憑依されていました。
ただ「望みを叶える」という目的がはっきりしている上、基本的に体の主導権も視点も円にあるので、男体化がどうこうという展開はありません。
個人的には体の主導権を奪われる阿熊の話と百合風味のお嬢様の話が面白かったです。
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