クルリのヒトトセ(樋口彰彦) 感想
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2009/05/21 00:20:42
2009/05/21 00:20:42
![]() | クルリのヒトトセ (角川コミックス・エース 212-1) (2008/10/25) 樋口 彰彦 商品詳細を見る |
クルリのヒトトセ:樋口彰彦
全1巻。少年エース連載。
アンドロイド/ロボット
粗筋
2098年、ピクト研究の松川博士を父に持つ松川クルリは、田舎に住む知人の家に預けられることに。そこには父が作った最新型のピクトのキューちゃんが、ばあちゃんと暮らしていて…。近未来ハートフルストーリー。
感想
この世界では、ロボットは『ピクト』と呼ばれています。2098年と大分未来の話ですが、戦争によってピクト工学が発達し、多くのピクトが人のそばにあるということ以外は現代と全く変わりません。作品の舞台である田舎の風景は、むしろ少し昔を連想させます。
ロボットが大好きだけど、父への想いから素直に表せないクルリ。父の作った超高性能少女型ピクトキューちゃん、元科学者のばあちゃん、機械的な外見の男性型ピクトのオラクル。2人と2体のヒトトセ=1年間を描いた作品です。そして1年間の間、彼らは家族になりました。
メインであるキューちゃんは、人間そっくりに作られていて、生まれたての子どものような性格です。何も知らず、楽しいことも、悲しいことも分からない。そんなキューちゃんが、いろんな事を知っていって、少しずつ感情を持つようになるまでが、とても優しい作風で描かれています。
もう一人のピクトであるオラクルは、ロボロボしく表情はないけれど、悲しい・楽しいといった気持ちを知っている大人のピクトです。2体とも正反対のピクトですが魅力的なキャラクターです。
主人公のクルリとばあちゃんは、血は繋がっていませんが、ピクトが大好きであるという点ではとてもよく似ています。
「ピクトにはピクトの幸せがあって 無理に人間に似せる必要はないんじゃないかって・・・」
クルリはピクトが大好きだからこそ、そんな風に考えていました。またばあちゃんも、兵器ロボットのあった戦争を経ても消えない、ピクトへの強い願いを抱いています。
人間と一緒にいることを目的に創られたキューちゃんが、あまりに人間的すぎるところは評価が分かれるところかとは思いますが、ピクトへの思い、ピクトという名前に込められた願いは、ロボットと関わる人間の描かれ方としてとても共感できるものでした。心や表情が丁寧に描かれた良作だと思います。
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