此花亭奇譚(1)/天乃咲哉 感想
admin≫
2010/01/24 19:23:34
2010/01/24 19:23:34
![]() | 此花亭奇譚 1 (IDコミックス 百合姫コミックス) 天乃 咲哉 商品詳細を見る |
物の怪ばかりが住む宿場町に佇む温泉宿“此花亭”。
ここは、訪れるお客様の心を解きほぐす癒しの宿です。
当宿では、狐の物の怪である私たちが仲居を務めております。
至福の時間を味わってもらうため、一生懸命おもてなしいたします。
優しくて温かなひと時をご堪能ください★ (出版社紹介文より)
人間の比丘尼に拾われた優しい少女・柚、仕事に忠実でちょっと怒りっぽい皐、気風のいい中井頭の桐、性格きつめのほんわか美少女・蓮、男っぽい棗、無口で無表情の不思議ちゃん・櫻の五人が働くお宿「此花亭」を舞台にしたほんわかあやかしストーリーです。
働いている女の子達は、事情や立場は違えど、みんな狐のあやかしで、狐の耳としっぽ付。触りたくなるふくふく耳が可愛らしいです。
お客さんは妖怪や神様、そして人の様な姿をした動物たち。女の子たち五人以外は、二足歩行の動物の姿をしています。妖怪が普通の世界らしく、人間はあまり登場しません。
一応妖怪漫画だとは思うのですが、妖怪の伝説や狐のあやかしらしい仕草などが一切なく、少女たちも普通の女の子のような言動です。絵柄はとても丁寧で愛らしく、狐耳の和服少女たちが魅力的でした。
掲載紙は百合漫画雑誌の「百合姫S」。「百合姫」と違って露骨な描写はなく、ほんわか柔らかな百合テイストのやりとりを繰り広げています。
それぞれの事情を抱えた狐少女達が、宿屋のお勤めを頑張りながら、次第に親しくつながりを深めている様子丁寧に描かれていて、眺めているとこちらまで和やかな気分になれました(ほんわかした雰囲気の割に、やたらと入浴シーンが入るのがちょっと気になりましたが)。
1巻の中で、特に私が好きなのは4話です。普段蓮を怒らせてばかりいる棗が、どれだけ蓮を大切に思っているのか、そして蓮が棗を心の底ではどう思っているのかが描かれているのですが、百合とも友情ともつかない危うい距離が良かったです。
妖怪漫画というにはちょっと物足りなかったですが、狐少女たちの心のつながりの描かれ方が素敵な作品でした。
- 関連記事