ちょびっツ(全8巻)/CLAMP 感想
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2009/05/16 05:44:32
2009/05/16 05:44:32
![]() | ちょびっツ 1 (ヤングマガジンコミックス) (2001/02/01) CLAMP 商品詳細を見る |
粗筋
浪人生の本須和秀樹が、近所のゴミ捨て場で拾ってきた、1台の人型パソコン。「ちぃ」と名付け、思いっきり期待したものの、なんのソフトも入っていない役立たずとわかり……!?パソコンが人型をしている世界を舞台にCLAMPが描くキュートなファンタジック・ラブコメディ第1巻、登場!!
感想
CLAMP作品は自作のリンクが激しいという特徴がありますが、本作ではあまり感じられませんでした。少年エースで連載していた
美少女パソコンに優しい管理人さん、可愛い後輩、ちょっとエッチな予備校教師に加えパソコンの起動スイッチが○○○にあるというとんでも設定で、なんちゃってロボットものかと思ったのですが、実際は「人と人」「人とパソコン」の関わりを描いたピュアなラブストーリーです。
ちなみにパソコンがなぜ「アンドロイド/ロボット」ではないのかは、ちゃんと理由があります。
話の大筋は成長するちぃと秀樹の関係、そしてちぃの秘密にせまるというものです。
再起動され初めは何もできなかった「ちぃ」が、秀樹の真似をして言葉を覚えたり、笑うようになり、同時に秀樹に対する一途な想いが育っていく過程がよかったです。ちぃの成長とともに、ちぃに対しての秀樹の心の変化も丁寧に描かれていました。
謎の発信者から送られてくるメールや、ちぃの見る夢、不思議な絵本と続きも気になる展開で、一気に読んでしまいました。
それと同時に、ちぃと秀樹の周囲の人々の、人型パソコンがあるという特殊な世界だからこそ起こる問題やすれ違いも描かれていました。コメディ要素もそれなりにあります。
人型パソコンの描写も面白かったです。
人型パソコンは人間と同様に家事などを行うほか、パソコンなのでメールの受信、検索機能なども付いています。音声での対応の他、ケーブルを繋いでアクセスすることもできます。
学習を繰り返し笑ったり、人を心配したりもできますが、パソコンなのでプログラムされていないことはできません。
この作品で一番人とパソコンの違いを感じたのは、ちぃと対照的な「すもも」というモバイルパソコンでした。
いつも元気で笑顔。何かに成功したら「拍手です!!」と言って、拍手されると大喜び。言葉が少なく、感情も控えめなちぃと対照的です。
モバイルなのでサイズは小さいですが、とても「人間らしい」女の子です。
でもパソコンです。添付画像を示してこれは何?と尋ねられても、添付画像としか答えられません。泥だらけの服でも、たたむことしかできません。「脱いだ服→たたむ」はあっても「汚れた服→洗う」というプログラムがないからです。
主人がいなくなったからと言って、指定された予定を変更することもありません。ずっとプログラムされた明るい女の子を実行するだけのすももは、かわいらしく思うと同時に切なくも感じました。
アンドロイドがいる社会を生きる人たちを、優しく描いた作品でした。特に一巻で絵はかわいいけどエロコメっぽいから・・・と思った人には、ぜひもう少しだけ読んでみてほしいです。
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※電子空間で人型になるパソコンと持ち主のショートコメディ。パソコン少女が可愛いです。
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