悪霊-シュトヘル- (2)/伊藤悠 感想
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2009/11/07 00:19:38
2009/11/07 00:19:38
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ユルールは蒙古軍に属するツォグ族の皇子。
敵国の文字に魅せられた彼は、西夏の文字盤と共に出奔。
途中であった隊商長・アルフォルドと共に南宋の西端・成都を目指している。
しかし「悪霊(シュトヘル)」に魅了されているアルフォルドは、ユルールを餌にシュトヘルをおびき出そうとする・・・・・・。(裏表紙粗筋より)
転生+憑依系TS作品。高校生である主人公が「シュトヘル」とよばれる少女に憑依?するというものなのですが、1巻に引き続き2巻もほぼ回想で進み、TSした状態での描写は序盤の9ページしかありませんでした。
TSとして読むと物足りないかもしれませんが、作品としては非常に面白いです。
1巻では狼と戦いその血を浴び、その異常なまでの能力を駆使して「虎の絵の男」・・・・・ユルールの兄を捜す「シュトヘル」と、「文字」を守るために皇子の身でありながら出奔したユルールという二つの物語が描かれていましたが、今巻ではとうとうこの二人が出会います。
女性であり人間でありながら、狼のように人の喉笛に食らいつくシュトヘルと、幾度相手に裏切られようと、その度に許そうとするユルール。どちらの心情も描写されているのでその対比が鮮明に感じられました。
また前回はユルールと「文字」の出会いを描いていましたが、今回は多くの戦友を亡くし彷徨う「シュトヘル」にとっての「文字」がまた違う意味をもって描かれていました。
帯にもある台詞ですが
「あした、わたしが死んでも消えないのか。・・・それが文字なのか――。」
という言葉は重く、そして優しく印象的でした。
新しく登場したアルフォルドという男は、ユルールの兄のように人の首で絵も描かず、シュトヘルのように人を食らうこともありませんが、そのまともであるが故のシュトヘルへの狂気じみた執着は不気味でぞくぞくしました。
この巻の最後の話といい、今後彼がどのように変わっていくのか(それとも変わらないのか)も気になります。
1巻の狼との戦いほどの衝撃はありませんが、圧倒的な筆力は健在。
残酷な描写もあるので人は選びそうですが、とても面白いのは確か。3巻も楽しみです。
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