MEGALOMANIA(メガロマニア) (全4巻)/檜山大輔
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2009/09/05 12:51:12
2009/09/05 12:51:12
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亜人と言う人間に造られた種族が住む世界…。この世界では亜人は人間に差別され続けて生きていた。警視寮特務二課で勤めるカノンは人間と亜人の“混血児”であった! 人間にも亜人にも うとまれて育ったカノンは人間と亜人が差別なく生きて行くことを願うのであったが…。 “差別”という巨悪の中でカノンは何を見出すのか…!? (スクウェア・エニックス紹介ページより)
スクウェア・エニックス内容紹介のページで第1話の試し読みができます。
http://www.square-enix.co.jp/magazine/powered/title/megalomania/
亜人:人間と動物の遺伝子をかけ合わせ作られた人造生命体。人間の肉体に動物の特徴を併せ持った姿(耳が動物のもの、鱗におおわれた皮膚など)で生まれる。人間と同じ思考を持つが、戦争兵器として作られたため、戦闘能力に特化した者も多い。
作中では、虎や熊、狼、うさぎなどの亜人が多く出てきます。外見は動物の耳がついていたり、二足歩行の動物だったりと様々ですが、何がしかの動物的要素が取り入れられています。
全編を通して、亜人を差別し、支配する人間たちと、その差別に抵抗し、時に戦おうとする亜人の問題が描かれています。奴隷制が撤廃されても、あくまで奴隷として、動物として扱おうとする人々、それに抗おうとする亜人たち、そして亜人を解放しようとする人々と、この状況を金儲けに利用しようと暗躍する人間や亜人たち。
人の手で作られた存在と差別、奴隷制度という設定だけなら、既視感を得るところもあるのですが、「なぜ差別をするか」を主人公のカノン(表紙だと分かりづらいですが女の子です)だけでなく、様々な立場の亜人達や人間達の、複数の視点から描き出しているので、ファンタジーな世界の問題が非常にリアルに感じられました。
差別と偏見という「悪」を、「悪いからダメなんだ!」という勧善懲悪主義で解決しない(できない)のも面白いです。
警官(作中では羅官)であるカノンは、敵に立ち向かい倒していくのですが、自分の命を守るため、その日の食事を得るためと、追い詰められた個々の敵は、単純に「イコール悪」、と言い切れないことも多く、ただ力が強いだけではどうしようもできないもどかしさがあります。カノン自身、非常に高い戦闘能力を持ち努力しながらも、亜人との混血であるため、他の警官には認められないという状況だから尚更です。
それでも少しでも守れるように、もがいてあがいて、真っ向から「悪」と闘おうとするカノンは、とても魅力的です。
児童向けRPGや、ファンタジー小説を思わせる個性的な絵柄も、この亜人が歩き回る世界にマッチしています。
根底には非常に重いテーマを置きながらも、日常描写では、軽い会話やキャラで笑わせる部分も多く、アクションシーンでは、激しくスピード感のあるバトルが楽しめるのも良かったです。
ただ一つ問題があるのは、この作品の終わり方です。一応完結してはいるのですが…。なお、形としては「第一部完」とされていますが、第二部が始まるかは不明です(作者コメントでも「続くか続かないかわからけど、たぶん続かない」と書かれています)。
ラストは賛否両論ありそうですが、鬱展開を含んだ、獣人と人間との重厚なストーリーが読みたい人にはおすすめです。
最終巻の感想は、ネタばれを含みますので続きを読むで。
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