新逆八犬伝アウトカラーズ(全3巻)/石田敦子 感想
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2009/11/29 00:15:03
2009/11/29 00:15:03
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犬嫌いの伏彦は、ごく普通の中学生。しかしある日、学校で化け物に襲われた所を、「犬」に変身した親友・志乃に助けられ!?
伏の"声"に反応し変身するという「下僕犬」志望の志乃、次々現れる化け物たちの登場に、伏彦の普通じゃない日常が始まる!(1巻帯より)
二足歩行の猫に導かれ、主人公の歌声で目覚めた獣少女達が悪しき者を刈る。
キャラクターの名前と言い、一見『里見八犬伝』を模した伝奇的な作品に見えますが、その正体は兵器少女達のケミカル残酷ストーリーです。
なおアナタの犬になります!! 犬耳×首輪×女子高生!?という文が帯に有りますが、萌え要素を期待しない方が良いです。あるにはありますが、それ以上にグロテスクな描写と欝展開が待っています。
可愛い子が酷い目に合うのが苦手な方は、読まないほうが無難かと思います。
「犬」に変身する少女達はごく普通の日常を送っているのですが、主人公の歌声によって強制的に「犬」に変えられてしまいます。
姿は犬耳+しっぽ、それに胸部を除く全身を覆う毛皮。ダルメシアン、ヨークシャーテリア、ミニチュアダックスと四人の少女それぞれが、ちゃんと異なった犬種になっています。
また獣への変化を漠然とした何かへの『変身』ではなく、きっちり『犬化』として考えて、徹底的に拒絶したり、逆に歓んで受け入れたりしているのも○。
敵は猫耳の女性(ただし猫らしい性質などは無し)、味方に元人間の二足歩行の猫も登場します。
登場する女の子たちは総じて魅力的です。
個人的お気に入りは主人公の元親友・志乃。男装(地味な眼鏡少年)の理由と「犬」への憧れが絡み合って、伏彦への異常な執着ぶりを発揮しています。
嫉妬心の強さはギャグ調で描かれる場面も多いのですが、伏彦の行動全てを肯定して依存する姿はがっつりヤンデレさん。
男装+ヤンデレの組み合わせが素晴らしいです。欝設定有りの濃いキャラですが、好きな人は堪らないかと。
他の少女も変身すると攻撃的になる委員長に、電波で軽く二重人格な三つ編み、志乃大好きな百合少女と、癖はあるものの可愛い子ばかりでした。
TSFネタは3巻に。主人公が性別逆転した世界の夢(?)を見るというもので、主人公は女に、女の子は男の子に変身します。
ただ1話だけで、しかも夢の中では正しい性別を知っている人がいないため、性転換でのどたばたはありません。
ストーリーは女の子達を指揮して猟奇殺人を解決するちょっとコミカルな展開が1~2巻まで、そしてはっきりとした敵と「犬」の謎を解明する3巻という流れになっています。
出生の謎、そして各キャラクターの背景は非常にきついですが、バトルの派手さや歌声での能力開花、キャラの魅力で楽しく読めました。
が、全体としての話はあまりよくないと思います。1・2巻にあった伝奇風バトルは影を潜め、人としての在り様・命を作ることを伝えるという方向に主旨が移っています。
その内容事体は良いのですが、全体的に詰め込みすぎて分かりづらく唐突な印象がありました。
また設定にしても、説明が足りずピース不足のパズルを見せられたような物足りなさが残りました。
1・2巻は、癖は有りますが本当に面白かったので、3巻の変化は残念でした。
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