もっけ-勿怪-(全9巻)/熊倉隆敏 感想
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2009/09/15 01:27:11
2009/09/15 01:27:11
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粗筋:人ではないものを見てしまう静流(しずる)と、見えないけれど憑かれやすい瑞生(みずき)。2人の姉妹の生活を描いた、田舎の日常妖怪話。
感想:妖怪を「見る力」を持った姉と、「憑かれやすい体質」を持った妹。両親と離れて暮らす祖父の家で、その能力を疎ましく思いながらも、ともに生きることを知っていく2年間を描いた妖怪漫画です。
彼女たちは妖怪の姿を見たり感じたりしますが、お祓いをしたり、友達になろうとしたりはしません。
最初から他の人間には見えない・分からないということを知っており、ただ自分の目の前にあるものを、大人しい静流は祖父の言葉や知識を思い出し、瑞生は祖父や姉の力を借り、持前の根性で立ち向かっていく様子は、本当に彼女たちが悩み、動いているように思えました。
妖怪を描くために彼女たちがいるわけでも、彼女たちの成長を描くために妖怪が使われているのでもない。無理に関わるでもなく、否定するでもない。彼女たちが生きている中に、ただ当たり前に妖怪たちがいる。そんな人と妖怪との距離がとても好きです。
そしてこの話には、もう一人印象的な少女がいます。静流と同じような力を持ちながら、徹底的に力を呪う彼女は「力と妖怪」だけでなく、「力と人」の暗い部分を静流に突きつけてきました。
「私たちの見る物なんて 真実半分嘘半分虚実綯い交ぜ なんでもないのよ
物語る人が居て 形になるし その人によってどんな形にもなる」
彼女の苦しみから生まれた言葉は、静流を否定するためのものでしたが、一方で「妖怪物語」全てのありようを言っているようにも聞こえました。
最終巻は、彼女を中心とした一つの物語になっています。彼女と静流、そしてこの「もっけ」という作品を完成させる大団円の巻です。
妖怪のこと:各話のタイトルは、毎回「ウバリオン」「シロウネリ」「イズナ」など妖怪の名前になっています。
これらは、必ずしも現れた妖怪のことばかりでなく、たとえ話として使われることも多いです。もちろん私にはそういったものは見えませんが、会話の中で自然と「人ではないもの」が登場することで、見えない私の生活にも、「人ではないもの」は確かに息づいているのだと感じられました。
作中で登場する妖怪たちは、その妖怪が登場する民話や伝承に則っています。瑞生と喧嘩仲間になった「カマイタチ」のように個性があるものもありますが、「エンエンラ」のように人にかかるもやという現象でしかないものもあります。個々の人格を持たない妖怪も登場します。
各話の終わりには、『図画百鬼夜行/鳥山石燕』など作中で登場した妖怪の出典とその紹介も掲載されており、作中の妖怪の描かれ方と、出展の絵や文とを比べてみるのも楽しいです。
続きは各巻に収録されているタイトルです。どんな妖怪が登場するかがちょっとわかるかと思います。
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この記事へのコメント
読む予定でしたが先に・・・
ヨシ、早く読むぞ(笑)
ヨシ、早く読むぞ(笑)
> runa.love さん
もっけ面白いですよ~。
もし読まれたら感想教えて下さいね(^0^)/
もっけ面白いですよ~。
もし読まれたら感想教えて下さいね(^0^)/
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