M-エム-(全7巻)/新井理恵

この人の漫画のヒーロー？は変態率が高いのですが(一番長い連載が、23歳執事が小6のお嬢様の下着を盗んだりストーキングした挙句結婚する話だったり)、この漫画の主人公もマゾのど変態です。しかも妄想癖があるヘタレという駄目っぷり。変態漫画大好きなので、そこはむしろOK。

なのですが、最終的にはヒーロー的立ち位置になります。それ自体はそれほど問題ないのですが、いじめやら、性的虐待やらを扱うのに、主人公が仕事を適当にやっているのが気になりました。
主人公も命を張ったりする場面が多々あるのですが、仕事をしていない(授業中にエロ妄想、生徒無視で授業を進める、職員室で痴話げんか等)上、その負担が全て担任である初恋の人に降りかかってるのに、まともに行動しない。
ヒロインを含めた周囲の先生は、くだらないことを言いつつも、仕事に対しては真面目なのも、主人公の不真面目さを引き立たせます。
また、ヒロインとホテルに行く→記憶が無い、というのはありがちだとは思いましたが、その翌日悩みまくった挙句に、結局なかったことにしようと笑いながら言った(しかも学校)で、真性の屑だと感じました。
でも周囲は、最終的に主人公によって立ち直ります。自分を刺した相手を助けようとするなど、やっていること自体は確かにすごいし、いい人でもあるとは思うのですが…。

また、他作品では、どれほどいいことをしようと、「いいやつだけど変態(もしくはただの変態)」という認識なのに対して、この作品では「すごい人/偉い人」的な扱い。主人公の変態設定はどこに。

『タカハシくん～』ではへたれながらもいい脇役だったので、この変わりようは残念でした。