ねくろまねすく(全３巻)/玉置勉強 感想

ねくろまねすく 1 (バーズコミックス) (2007/10/24) 玉置 勉強 商品詳細を見る

ねくろまねすく/玉置勉強/全３巻/コミックバーズ連載/女装/ゾンビ/ネクロフィリア/Sヒロイン

死んだはずなのに生きてる――。ある日突然「不死者」になってしまった阿美健一郎(あみけんいちろう)。「不死者」になった理由も、これからどうすればいいかもわからず、途方に暮れるアミが出会ったのは、眼帯の美少女・カタリナと、その妹でアミと同じく「不死者」のノラだった。何故か3人での奇妙な共同生活が始まってしまったが!?(カバー裏あらすじより)

「不死者」となった主人公・アミが、男嫌いのマッドサイエンティスト・カタリナに拾われ、強制的に女装させられます。第１話で女装させられた後は、ほぼ女装のままです。
女装時はピンクのロングヘア＋女物の服。服装は頻繁に代わり、ワンピースに女性物のコート、ネグリジェなどで、どれも可愛いです。また３巻では、セーラー服でのバトルもあります。

主人公で装キャラのアミが、犯罪レベルの女たらしという設定が新鮮でした。作品中だと濃い女性陣に襲われることが多いですが、時折女装のままで、屑な過去が顔を出すのが面白いです。
ピュアで可愛い女装っ子からはかけ離れた性格ですが、同居人であるカタリナやノラに対しては、優しい言動が多く、3人がきゃいきゃい騒いで花見やクリスマスをしている場面は、読んでいて和みました。

設定は特殊ですが、『ねくろまねすく』の基本は、アミとマッド科学者な眼帯少女・カタリナ、包帯を体に巻きつけた人工的「不死者」のノラとのほのぼのラブコメディです。
女装担当のアミは元より、常に空回りしているツンデレマッドな天才少女カタリナも、感情も感覚も無いゾンビ少女のノラも、可愛くて楽しいです。
ですが個人的には、ネクロフィリア(死体愛好者)でアミに執着する女科学者・グエン一押しです。一見真面目な博士風なのに、全身刺青にボディピアス、何より言動の狂いっぷり凄まじいです。

ほのぼのした雰囲気ですが、ネクロフィリアなグエン博士や、継ぎ接ぎだらけのノラの肉体、敵対する人間の暗躍など、ダークな要素が散見しているので、ほど良く緊張感と期待も煽られる面白い漫画でした。

ただ、１・２巻で匂わせた暗い部分が、噴き出すこともなく終わってしまったのが残念です。一つの物語としては綺麗にまとまっているとは思うのですが、必要以上に小さくまとまってしまった感じがします。前作が前作だけに、てっきり酷い展開になると思っていたので、拍子抜けしてしまいました。

ちなみに前作は、一部で有名な『東京赤ずきん』というエログロ漫画です。

東京赤ずきん 1 (バーズコミックス) (2004/06/24) 玉置 勉強 商品詳細を見る

『ねくろまねすく』は『東京あかずきん』ほど癖も無く、グロもないので、前作が苦手だった人も大丈夫だと思います。

ストーリーではなく、女装やツンデレやゾンビ少女などキャラ萌え目当てなら面白い漫画です。ただ終盤が物足りない展開なので、ストーリー重視という方は、考えられた方が無難かもしれません。