プラナス・ガール（１）/松本トモキ 感想

プラナス・ガール 1 (ガンガンコミックスJOKER) (2009/08/22) 松本 トモキ 商品詳細を見る

プラナス・ガール（１）/松本トモキ/１～/ガンガンJOKER連載中/女装

桜が咲く頃、出会ったあいつは…!!
高校の合格発表で出会った一人の少女に恋に落ちてしまった槙…。
偶然にも、クラスメイトとなったが少女の口から驚くような告白が…なんと彼女は"男"だった!!
小悪魔な女装っ子藍川と、翻弄され続ける槙とのちょっぴりおかしなラブコメディー!!　(カバー裏あらすじより)

ガンガンOnlineで９月２日まで第１話が公開されています。
http://www.square-enix.com/jp/magazine/ganganonline/comic/index.html#guest

女装漫画です。しかも第１話からフルスロットルで、主人公槙と「女装っ子」藍川の関係が描かれています。他のキャラクターも出ては来ますが、ほぼこの２人がメインです。
なお、藍川は女のふりをしているけど実は～という、隠れ女装っ子ではなく、クラスの自己紹介であっさりばらしてしまう、オープンな女装っ子です。性格も顔も良いので、男女問わず受け入れられています。

女装の理由としては
・強制的に女装させられる
・目的のために女装する
・女の子になりたくて女装する
・単なる趣味
あたりが考えられるかと思うのですが、この小悪魔女装少年・藍川は、自分の正体をうまく隠してしまっています。それがとても新鮮でした。「女の子になりたくて女装する」のか「単なる趣味」なのか判断がつかないのです。
そして、相手は男だし、でも見た目は完全に女だし…と、誠実だからこそ翻弄されてしまう槙に、追い打ちをかけるように
「ボクは男か女かどっちが本当だと思う？」
と、迫ってきます。

この質問の答えを出すまでが第１話なのですが、この第１話に男なのに女の子、いつも一緒にいるのに正体不明な小悪魔・藍川の魅力がぎゅっと詰まっています。
元々第１話は読みきりとして描かれたものらしく、この話だけでも完成度は非常に高いと思います。「ボクは～」の質問の続き、頬杖をついて笑いながらの
「槙くんが思う方でいいんだけどなー」
という台詞も、開けっぴろげでふわふわした藍川の性を現しているようで、なんだかドキリとしました。

２話も読みきりとして描かれたもので、男ばかり(含・藍川)で海に行く話です。他にも２人男がいますが、絵的には完全に可愛くて積極的な女の子と海でデートです。正しくは女装っ子なわけですが。ちなみに藍川の上半身は、水着だろうと何だろうと、鉄壁のガードがされています。
この作品には直接的なエロ描写などは全くありません。ですが、雰囲気の出し方はとても巧く、ギリギリな空気を醸し出しています。
同行した男２人は、以後レギュラーとして登場。「可愛ければ男でもいい!!」と叫びつつ、実は藍川が女ではないかと夢想する門山が馬鹿で楽しいです。もう一人の笹木野は、突っ込み担当の冷静少年です。

３話は連載第１話目ということで、藍川というキャラクターの紹介回。この回からコミカルな部分も増え、学園コメディ漫画らしくなっています。それでもやっぱり、毎回藍川が迫ってくるのはお約束なら、槙がその度に焦りまくるのもお約束です。藍川の妖しい笑顔や誘うようなセリフが、いちいち小悪魔っぽくて可愛く、それに毎回焦りまくってしまう槙の反応が楽しいです。
４話は部活勧誘を断るためという名目で、全運動部の種目で対決するのですが、実質は藍川コスプレ大会。弓道からテニス、チアリーディング部まで、可愛い女装姿を披露しています。

描き下ろしは設定資料集４ページに描き下ろし２枚(ロングヘアにブレザーの藍川と、寝転がる槙に乗っかっている藍川)、連載までの裏話など。２巻告知ページが妙にエロいことになっています。
以前発売された『女装少年アンソロジー』に掲載されていた「プラナス・ガール 1.5」は、今回は掲載されていません。
『女装少年アンソロジー』感想はこちら。

積極的に女装している「女装っ子」と、男主人公の恋愛まがいのあぶない友情ものが好きな人には、文句なしにお勧めの漫画でした。

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