秘密のエトワール(1)/宇野紗菜 感想
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2009/08/15 02:06:54
2009/08/15 02:06:54
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「男顔」コンプレックスの女子高生・真琴が出会ったカンペキな王子様の正体――
それは「男装の麗人」だった!?
男装カフェを舞台に繰り広げられる、超刺激的ストーリー。(裏表紙粗筋より)
宝塚ファンのオーナー(女性)の下、店員全員が男装麗人のカフェ「エトワール」を舞台にした男装少女の成長物語です。
全員美形という共通点はあるものの、男顔と長身がコンプレックスの真琴、見た目は王子様の横暴店長、オネエ言葉のフェロモン系、一人称からオレの男装腐女子レイヤー、茶道家元の僕っ娘と多様なヒロインが揃えられています。名前のあるキャラはいませんが、お客さんもみんな女の子です。
「自分が男っぽいこと」にコンプレックスを持った女の子が主役の漫画は多いですが、この漫画では敢えて自分のコンプレックスに真正面からぶつかる「男装」という手段で、真琴が立ち直り、また成長していきます。
カフェの設定こそわざとらしい宝塚紛いに、砂を吐くほど甘い言葉の乱舞(桜蘭高校ホスト部のノリに近い)ですが、「女の子に夢を与える場所」で働く心構えなど、予想外にまじめに描かれていました。
作中で言われていた、
「ここは"男装"を求めてるのであって"男"を求められてはいない」
という台詞のように、なるほどと思うものも多かったです。
男装した女の子や、彼女達に憧れる女の子たちの考え方を見たい知りたいという人は楽しめるかと思います。
ただ設定は面白かったのですが、引っかかるところも多かったです。
まず、主人公以外の男装キャラの女性時の姿が描かれていないこと。女性らしい丸みが無い体に、常に男性の口調と服装で、主人公以外の男装キャラが女の子に見えませんでした。
二つ目は、真琴の着替えのシーンが省略されていること。唯一真琴だけが、女物から男物に服を着替えますが、そのシーンは描かれません。しかも、女性が男の姿になるために、それなりに工夫(たとえばさらしを巻くとか)が要りそうなものですが、そういったことをしている様子もなく、本当にただ服を着替えるだけのようです。
最後に、男装とは直接関係ないですが、一番引っかかったのは百合が全く無いことです。私が好きだということもあるのですが、正直この帯(男装ヒロイン3人が主人公に告白めいたことをしているイラスト)で、これは詐欺じゃないかと思いました。
一応主人公が、自分を助けてくれた男装の王子様にドキドキして、「女の人相手なのに!」と自己嫌悪に陥ったりという描写もありますが。ありますが……。
取り敢えず1巻では、そういった展開はありませんでした。
あと内容の問題ではありませんが、絵柄がかなり癖があります。表紙のカラーよりも中の白黒ページの方が濃ゆいので、できれば店頭商品の帯で絵柄を確認することをお勧めします。
以下ネタバレ感想です。
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