狐とアトリ―武田日向短編集/武田日向 感想
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2009/06/26 23:55:45
2009/06/26 23:55:45
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掲載作品
「狐とアトリ」
「ドールズ・ガール」 入院している少女と少女の、人形を通した交流の話。
「やえかのカルテ番外編」 以前連載していた『やえかのカルテ(全三巻)』の番外編。
感想
表題作である「狐とアトリ」が、キツネの妖怪が出てくる和風ファンタジーです。狐の妖怪の一族などではなく、人の姿をかりることもできる狐というスタンス。田畑や神殿、村人が丁寧に描かれていることもあり、昔話の化け狐という雰囲気がよく出ています。人間のイラストはとても可愛いですが、動物の描写はとてもリアルで少し不気味なほどです。けもみみもありますが、萌えよりもむしろ人ではないものの怖さを助長しています。
絵の可愛らしさに釣られて購入したのですが、読んでいてどこか噛み合わない違和感をずっと感じました。嘘が嫌いでお姉ちゃんが大好きな巫女の少女+化け狐という一見ほのぼのした話なのに付き纏う気持ち悪さ。しかし、その気持ち悪さと違和感は話の中で綺麗に昇華されました。48ページが巧みに構成されています。最後はお互いを思う姉妹の愛が伝わってきました。
とはいえ、可愛い女の子と狐の妖怪の仲良し漫画を期待すると確実に裏切られることになるかと思いますので、その点はご注意ください。
番外編の「嘘と小判」は後日談。こちらはほのぼのとしたお話になっています。
以下他の短編感想
「ドールズ・ガール」
入院している人見知り少女・実(みのり)の部屋に、快活でお洒落な叶(かなえ)が入院することになる話。
この短編の中で一番好きな物語です。人形や本といった「変わらないもの」に縋る実と「今やりたい事をやらない方がもったいないの」と、ぐいぐい実を引っ張っていく叶。実の心情がリアルに伝わってくるからこそ、叶の言葉や優しさが、こちらまで響いてきます。
またおまけで叶視点の話もついているのですが、僅か1ページなのにとても幸せな気分になれました。
「やえかのカルテ番外編」
以前連載していた『やえかのカルテ(全三巻)』の番外編。キャラクターの紹介などがないので、初見の人は分かりにくいかもしれません。
獣医を目指すやえかと、その周りの人の後日談という形になっていて『やえかのカルテ』が好きだった人には嬉しい話かと思います。獣医のたまごの話だけあって動物がとてもリアルです。一部リアルすぎて可愛さも減少していますが(笑)
中でも指にかみついているトカゲの顔が好きした。無表情なのに生きた動物という感じがしました。
武田日向さんの作品は、とても丁寧に描かれているのが好きです。一コマ一コマの完成度も高いですが、少女の視線からの鳥居の高さ、手を引っ張られ走る時の疾走感など、漫画的な表現も魅力的です。
現在連載中の『異国迷路のクロワーゼ』も、19世紀のパリの町並みを緻密に描くことで、そこで働く日本人の少女の着物の美しさ、そして少女自身の可憐さが際立っています。
ちなみに2巻はアニメイトで特装版が発売されていますが、こちらだと通常版のカバーは付きません。個人的には通常版の表紙↓の方がお勧めです。
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この記事へのコメント
最近、妖怪モノに凝ってますから
読まないといけませんね(笑)
でも怖い系はダメです。
読まないといけませんね(笑)
でも怖い系はダメです。
> runa.love 様
私も妖怪もの好きです!そして怖いものは苦手(笑)
地獄先生ぬ~べ~も駄目でした…
この本は怖くないのでおすすめです。
絵が綺麗なのでちょっと凄味があるところもありますが。
私も妖怪もの好きです!そして怖いものは苦手(笑)
地獄先生ぬ~べ~も駄目でした…
この本は怖くないのでおすすめです。
絵が綺麗なのでちょっと凄味があるところもありますが。
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