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蛍火の杜へ(ほたるびのもりへ)/緑川ゆき 感想 

蛍火の杜へ (花とゆめCOMICS)蛍火の杜へ (花とゆめCOMICS)
(2003/07/05)
緑川 ゆき

蛍火の杜へ/緑川ゆき/短編集/LaLa・LaLaDX掲載/和風ファンタジー/恋愛もの

掲載作品・・・各話が春、夏、秋、冬の季節を舞台にした少女の恋物語になっています。
「花唄流るる」 立ち入り禁止の旧校舎から、ギターの音が聞こえてくる。委員長タイプの島と目つきの悪い藤村くんのギターを通した交流を描く。
「蛍火の杜へ」 ゛山神の森"へと迷い込んだ少女・蛍と人間に触れられると消えてしまう妖怪の話。
「くるくる落ち葉」 大好きな幼馴染楓を影から守るため、少女椿は忍者を目指す!
「ひび、深く」 両親の離婚で八年前に離れ離れになった兄妹。復縁でもう一度一緒に暮らすことになり喜び合う二人だったが・・・。

感想
表題作である「蛍火の杜へ」が、妖怪の出てくる和風ファンタジーです。同作者の『夏目友人帳』と同様、具体的な妖怪名などはなく、曖昧な影や、人に似せた姿などで描かれています。

「ねぇ、ギン。何があっても絶対私に触らないでね」
夏休み、祖父の家に遊びに来ていた6歳の女の子蛍は、森で迷子になって泣いていた所を、お面をかぶった妖怪ギンに助けられます。それが切っ掛けで二人は毎年の夏、森で遊ぶようになりました。
でもギンは人間に触れられると消えてしまう妖怪です。抱きつこうとすると木の棒でごすんと殴られます。木から落っこちてもひょいと避けてしまいます。
蛍が中学生になっても、高校生になっても、どんなに思いが強くなっても「触れられない」ということは変わりません。
ラスト8ページが本当にきれいな作品です。読み返すたびにこの作品が好きだと実感します。

以下他の短編感想
「花唄流るる」 
この本の中で、一番ストレートな恋愛もの。ギターの練習を通した、真面目な島さんと一見不良のような乱暴者藤村君、藤村君のセンパイ野口先輩島の関わりがメインのお話です。ギターをたたいた藤村君に目を奪われた島は、藤村君に自分の声を届けたくてギターの練習を頑張ります。藤村君の一言に、全開の笑みを返す島さんがとても可愛いです。 

「くるくる落ち葉」 
主人公の椿が、この作者さんに珍しく、ちょっとおばかな女の子です。「わたし忍者になる!!」と誓ったちびの頃から、木に隠れたりボールに体当たりしたり。大好きな楓を守るためくるくる頑張っています。
動きや台詞が小さい子をそのまま大きくしたようで、楓でなくても危なっかしくて目が離せません。そんな椿の「好き」は傍から見たら可笑しくて、ひどく幼く映ります。でも椿の思いは、小さい頃から育ててきた強い強い願いでした。楓の恋人などでなく、もっと小さな願いのために足掻き続ける椿が切なくて、大丈夫だよと抱きしめたくなりました。

「ひび、深く」 
たった八年離れたくらいでとりもどせないような仲ではない。きっとすぐに埋められる。きっとすぐにあのころへ帰れる。
兄妹での恋愛ものです。妹の律は兄・蒼(そう)との再会が嬉しいばかりだったのに、次第に兄への好意を自覚してしまいます。高まる恋心をおかしいと打ち消し、八年前の髪型にして、兄と妹の関係でいようとする律。巡る子どもの時の記憶が、家族を壊したくないという思いを強めます。
シリアスな兄妹での恋愛は苦手なのですが、この作品は家族というものへの強い思いが伝わって、わりとすんなり読むことができました。

2011.02.21追記 映画化決定しました。
関連記事:緑川ゆき「蛍火の杜へ」映画化・「夏目友人帳」第三期放送決定
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この記事へのコメント

とのすけさんおはようございます(*^ー゚)b&コメ・:,。★\(^-^ )♪ありがと♪( ^-^)/★,。・ です

Σ(゚д゚lll)・・・・人間に触られてしまうと消えてしまうという妖怪と、人間の・・・・
なんと切ない^^;;wそして、男からしたら、、拷問だ!これはw( ゚д゚) 誰も居ない森・・・2人で遊ぶ・・・しかし触れない・・・_| ̄|○ ww

一部のマニアの間でレ○価値がついているという
思春の森 では・・・同じような展開で、、、まったく別なオーラですが・・・wwもう○りまくりの(★ ̄∀ ̄★)・・

でもやはり、触れないからこその魅力更にはピュアな恋愛感情がありそうでドキドキであります(`-ω-´)キリッ

最後の8ページ・・・・ うっ・・・(T_T)なんかありそうです・・・w読んでない想像から言わせて貰うと、、、森・・・山・・・うーん・・・女の子が足をすべらせて崖から滑り落ちて、、思わず手をにぎってしまって・・・なんてのがありそうで(T_T)ww感動と強○ものは駄目なkurecomiw

でも少女漫画では、、かなりこう・・男が死・・系で感動させられる作品が多いですよね・・・・ これはやはり、フッタ男を3日泣き続けて一気に忘れる・・・みたいな・・・・女性特有の感情なのですかね?@@;ww

銀盤カレイドスコープとかも・・・( .;'´_ゝ;`:,)
男が見るとひきずります・・w
 これは読みたいです!
 夏目友人帳を読んでから緑川先生の
 他の作品も読みたいと思ってました。

 読みたい作品が増えるのはうれしいです。
kurecomi さんこんばんは!コメントありがとうございます(^-^ )♪

> 誰も居ない森・・・2人で遊ぶ・・・しかし触れない・・・_| ̄|○ ww
2人で遊ぶと言っても、それこそ鬼ごっことかかくれんぼですから!
この書き方だと、なんだかいやらしくなってしまいます!
思春の森、確認したのですが、確かに別物ですね(笑)
プレミアついているということに納得してしまいました。

最後は感動ものというか、私はきれいだなあ、という印象を受けました。
でも感動系無理なら無理かもしれないです・・・。

> 男が死・・系で感動させられる作品
単純に主人公が女の子で相手が男の作品が多いからかと思ってました。
感覚の違いというとどうなんですかね???そこまで考えたことがなかったです。
銀盤カレイドスコープは未読なのですが、ラストはなんとなく想像できました(笑)
夏目友人帳お好きでしたか!私も大好きです。
『緋色の椅子』だけ王位とかが絡んだがっつりファンタジーなので、
ちょっと雰囲気が違いますが、どの作品もお勧めです。

読みたいものが増えるのって楽しいですよね。
あとは時間も増えてくれるともっと嬉しいのですが(笑)
『蛍火の杜へ』、私が初めて買った緑川ゆきさんの単行本です。
表題作がやはり一番好きです。切なく、優しく、温かい雰囲気。なんて素敵なお話を描く人だろうと思いました。
『緋色の椅子』全3巻も買いました。私が緑川さんを知った時には既に『あかく咲く声』が絶版だったんですが、文庫で再版されたので買いました。

『夏目友人帳』の第8巻が来月出ますね。そろそろ違う作品も描いて欲しいけど(アニメも終わったことだし)、やはり楽しみです。
Wrlzさんもこのお話お好きでしたか。
> 切なく、優しく、温かい雰囲気。なんて素敵なお話を描く人だろうと思いました。
表題作は粗筋だけだと切ない話ですけど、実際読むと温かい気持ちになれるのがすごいです。
この単行本の話は全部好きですけど、こんな気持ちになれるこの作品がやっぱり一番好きです。

わたしは以前LaLaを買っていたので『あかく咲く声』を見ていたのですが、その時は風変わりな話だなあとしか思わなくて。『緋色の椅子』を通して読んだ時に、すっかり嵌ってしまいました。

8巻は買います!夏目も大好きですが、短編など他の作品が見られないのは、確かに寂しいですね。
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