そして、僕は君に還る(全２巻)/小谷憲一 感想

※後半ネタバレ注意

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そして、僕は君に還る/小谷憲一/全２巻/スーパージャンプ連載/女装(人によって判断が分かれるかと思います。ネタバレになりますので、詳細は下記に)

大学時代から付き合い始めた宮本陸と柚木愛の2人。
ところが卒業前に訪れたニューヨークで出会った美女に陸は一目ぼれしてしまう。
一方、愛にも運命の出会いが!? 2組の男女が織り成す四角関係ピュアラブストーリー!
集英社公式ページにて第一話の試し読みができます。
掲載ページ：http://www.s-manga.net/comics_new/cn_20101004_sj_jcd_9784088598581_soshite-bokuhakimini-kaeru-1k.html


モデルの凛、凛に魅了された宮元陸、そして陸の恋人の柚木愛、凛が所属するブランドの早見樹。
「そして、僕は君に還る」は、この４人の織り成すラブストーリーです。

主人公は高校からの恋人同士である陸と愛。しかし謎の美女モデル・凛に出会ったことで２人の仲は次第におかしくなって行きます。
理由も分からず、ただただ凛に惹かれていく陸、そして愛もまた凛の事務所に勤める美青年・樹が気になり始める・・・・・・。
粗筋の「ピュアラブストーリー」とは一見ほど遠い展開ですが、陸と愛、両方の感情を丁寧に描いているためか、どろどろとした恋愛が苦手な自分でも読むことが出来ました。
またこれは個人的な好みになりますが、修羅場らしい修羅場がなかったのも良かったです。
お互いがお互いに凛・愛という相手と浮気することになるのですが、そのことで責めたり、影でこき下ろしたりという描写はありません。
むしろ、好きになったきっかけやお互いへの愛情なども回想を交えながらしっかり描かれている方かと思います。

また主軸は恋愛ですが、凛の殺人疑惑に樹の過去など、陸・愛それぞれに謎が提示され、単なる恋愛漫画では終わりません。
２巻では過去の回想と散りばめられた謎が繋がり新たな展開を見せます。
陸も愛も一線は越えないものの近い描写があるので、「寝取られ」はどうしても無理という方にはおすすめしませんが、謎の多い「凛」は魅力的で、読みやすく面白い作品だと思います。
特に２巻で明かされる真実と、真実を知った陸・愛それぞれの友情の在り方はいいです。
終盤の展開は、理想ととるかご都合主義と取るかは分かれるところだと思いますが、読後感は悪くなく、まさしくハッピーエンドといえる作品でした。

女装かそうでないかは分かれるところですが、そういったキャラクターが好きな人にもおすすめです。


※以下女装について。完全にネタバレになりますので苦手な方はご注意ください。



陸が恋に落ちたモデル・凛が性同一性障害で性転換手術をした男性です。
ストーリー上は完全に女性として通しているのですが、２巻中盤で実は性転換している元男だと発覚。
しかも、愛に声をかけてきた樹、そして随所に挟まれる回想で登場している行方不明の親友だったということも分かります。
完全に手術済みで戸籍も変更されているので、人によっては女装というよりもTSFになるかもしれません。
なお回想シーンでは少しだけ男の体での女装も描かれています。


終盤は性転換手術をしたということを公表した凛、凛が元親友だったということを知った陸、樹が凛の別人格と知った愛それぞれのその後が描かれています。
それぞれの葛藤と想い、それを乗り越えての新しいスタート。３人が選んだ生き方には驚きましたが、文句の津用がないハッピーエンドでした。
女装(女体化？)ということでも面白かったのですが、性同一性障害を扱った作品としても興味深かったです。

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※性転換して美少女になった元憧れの先輩が登場するコメディです。