幻想香人(全2巻)/唐沢千晶 感想
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2011/06/05 22:16:22
2011/06/05 22:16:22
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ここは、大正七年、帝都東京市――。兄が殉職して身寄りのなくなった偲は、兄の親友だった伯爵匂宮家に引き取られる事に。
香道の家元で香水会社社長の主・匂宮香のもと、兄の意志を尊重し男として暮らし始めた偲は様々な事件に巻き込まれる…!? ミステリアス大正浪漫☆
LaLaDXで連載されていた男装少女のミステリー活劇。
大正+男装+ミステリーと大好きな3要素が詰まっていて、とても面白かったです。

主人公は警察官である兄を殺された偲。
後見人となった女好きの伯爵・匂宮香を追いかけまわしているちょっと凶暴で無鉄砲な書生なのですが、実は男装した少女です。
ちなみに男装の理由は「女とばれると伯爵に手を出されるかも」というそれほど重要とも思えない理由なのですが、最終話まで男装を貫いてくれるので、それ目当てで読む分には良いかと思います。

また各話に一度ほど女に戻って敵陣に乗り込んだりすることもありました。

本筋は殺伐とした部分が多いのですが、主人公が、勝気で前向きガンガン動き回るので、読んでいてストレスを感じませんでした。
また表紙から想像した内容に反して、偲と伯爵の会話などコミカルな部分が多かったのも良かったです。
ストーリーは、第1話(連載前の読み切り)で兄を殺した犯人捜し、その後は匂宮家や阿片売買といった事件に巻き込まれていくことになります。
1話以降はストーリー原案が「津山冬」さんに変更されているのですが、あまり違和感はありませんでした。
収録されているのはどれも1話完結。麻薬密売、殺人事件といくらでも長くできそうな話が多いのですが、カッチリ1話に収めてくれているので読みやすいです。
本格ミステリというほどではありませんが、1話50ページほどの中で毎回起承転結・アクションシーンが入れられており読み応えは十分。事件の発端・解決手段に「香」が使われているのも新鮮でした。
ラストで明かされる伯爵の正体は唐突な気がしましたが、全体的には十分楽しめる作品だと思います。
一方で少し人を選ぶかもしれない要素も。
まず偲が非常に男らしい性格なので、女の子が無理をして男の振りを~という作品が好きな方には向かないかもしれません。独り言などでも一人称は「オレ」のままです。
次第に偲が伯爵に好意を持つようになるのですが、言動もかなり男らしいので男性同士の恋愛に見える場面もありました。また主人公以外にも同性愛要素が若干あるので、苦手な方は注意されたほうがいいかも知れません。
男装状態で男子校に通うという話もあったのですが、すぐに殺人事件が起こってしまい男装での学園生活が描かれなかったのは残念でした。
若干人を選ぶかもしれませんが、キャラもストーリーも面白い漫画です。
大正・殺人事件・冒険活劇、男装少女といったキーワードが好きな方には特にお勧めです。
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